リハ職のキャリアアップ

【実体験】理学療法士から一般企業に転職はできる?

理学療法士異業種転職

【実体験】理学療法士から一般企業に転職はできる?

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“理学療法士(リハビリテーション職)が異業種の一般企業に転職するのってできる?難しい?”

“どんな企業に転職できるのかな?”

私自身、すでに理学療法士の職を離れて、一般企業の人間として働いていますし、なぜか周りにもそのような“元リハビリテーション職”の人も多いです。

そこで今回は、

「理学療法士(リハビリテーション職)という職業に将来の不安、自分には合っていない感覚がある。でも実際一般企業に転職するのってどうなのだろうか?どうやって転職すればいいのだろうか?」

という、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の方々へ向けてお伝えしていきます。

 

この記事を書いた私は…

理学療法士 愛甲太樹
理学療法士 愛甲太樹
2009年に理学療法士免許取得。これまで多くの理学療法士の先輩、後輩はもちろん、同窓生のキャリアアップや転職を見てきました。

理学療法士から一般企業に転職はできる?

一般企業に転職した理学療法士

結論、理学療法士から一般企業・異業種に転職することは可能です。

実際に最近は、理学療法士から一般企業に転職する人も増えています。

また、この記事を書いている私も、まったくの異業種であるIT業界に身を置くうちの一人だからです。

ただし、付け加えておくと諸々条件が揃わないと、一般企業への転職は容易ではありません。

詳細はまた後ほど。

実際どのくらいの人が一般企業に転職しているのか?

理学療法士協会の会員分布表を基にお話ししていきましょう。

理学療法士免許を保有している人全員を追うのは難しいので、協会会員の人数・割合から推測していきます。

理学療法士協会の統計より

■2019年までの累計国家試験合格者数=172,285人

■2021年時点での理学療法士協会の会員数=91,064人

理学療法士の規模感としては、このようなものです。

では、ここからは理学療法士協会の会員のうちどのくらいの人が一般企業に勤務しているのでしょうか?

ちなみに自営業等も含んで考えます。

【91,064人中1,412人】

1,412人の会員=全会員の約1.5%が、いわゆる一般企業で勤務しているというのが現状です。

ただし、これはあくまで理学療法士協会に所属しているPTに限った話です。

一般的に、セラピストとして現場を離れると同時に協会を退会する人が多いでしょう。

なので、協会に所属していない理学療法士を含めるとさらに割合は増えるのではないかと予測できます。

では、そのような理学療法士が、どのような業界に身を置いているのか?ということについてはまた後ほど。

今後さらに増える?

増えることは間違いないでしょう。

なぜなら、毎年1万人前後の理学療法士が誕生しています。

そうなれば、必然的に他の道を選択する人も増えてくるはずです。

理学療法士合格者推移出典:医療創生大学

この図からもわかる通り、毎年コンスタントに理学療法士の人数は増加しています。

養成校の数は2007年をピークに減少したものの、下げ止まっているのが現状です。
なので、この流れはしばらくは継続すると考えて間違いはないでしょう。

一方、理学療法士協会の会員が所属している全就業場所の数は2021年現在で18,905か所となっています。

理学療法士の増加ペースと、それを受け入れる就業先や、受け入れ人数も同じペースで増加することは考えにくいというのが現状です。

このことからも、今後一定数リハ業界の外に活路を見出す人も増加するでしょう。

では、理学療法士(もしくはリハビリテーション職)から一般企業特に異業種への転職の難易度はどの程度のものなのでしょうか?

リハ職から異業種の一般企業への転職の難しさ

一般企業に転職したい理学療法士

結論から言うと、業種によって難易度が大きく変わる、ということです。

リハビリテーション職から、異業種の一般企業に転職するといいうのは、可能ですが正直、業種によっては容易ではありません。

なぜなら、通常一般企業の転職・中途採用というのは、どんな免許や資格を持っているのかよりも“即戦力”を求める傾向が非常に強いからです。(もちろん特定の免許や資格がなければ業務ができない職種は別ですが)

なので、リハビリテーション職の技術・知識が生きる一般企業であれば転職はさほど難しくはないでしょう。

しかし、全く畑違いの業種であれば、即戦力にはなり得ないし、リハビリテーション職の免許というのは企業の売上には一切関係しません。

よって転職は容易ではなくなるのです。

一般企業に転職した理学療法士の転職先

一般企業に属しながら、理学療法士協会に属する理学療法士の所属先一覧を見てみましょう。(その他は除く)

【一般企業に属する理学療法士(協会会員)】
【所属先】【人数】
職業センター21人
リハ関連企業163人
異業種一般企業155人
補装具製作施設1人
介護サービス企業296人
自営・開業・自宅勤務167人
スポーツ施設54人
フィットネス施設48人

一般企業へ身を移す理学療法士は、年々増加しているとは言え、異業種の一般企業に転職する理学療法士というのは、まだまだ多いとは言えません。

しかし、理学療法士の知識や技術が生きる介護や補助具や、スポーツやフィットネスの分野などの一般企業は比較的参入しやすい分野でしょう。

また、リハビリテーション職というのは大枠では“サービス業”です。

なので、サービス業に属する企業にはチャンスはあるでしょう。

では、ここからは、

「ITや不動産など全くサービス業でもない企業に転職したい!」

という方に向けてお話ししていきましょう。

実際、異業種に身を移すまでに大変だったこと

異業種に転職を試みる理学療法士

私のようなこれまで理学療法士としての社会人経験しかなく、異業種で生計を立てるにあたって一番大変だったこと、つらかったことは、これまで培ってきた知識や技術が1円も生み出すことができない現実を知ったことでした。

リハビリテーション職の国家資格は、医療保険・介護保険適用の医療機関や介護施設においては保険点数による収益をもたらします。

むしろ、免許保有者がいなければ、収益は上がりません。

しかし、一般企業においては違います。

リハビリテーション職の国家資格がなくとも、収益を出すことができます。

言い換えれば、リハビリテーション職の国家資格なんて持っていなくてもいいのです。

全くの異業種であれば、はっきり言ってリハビリテーション職の国家資格など、なんの役にも立ちません。

ということは、国家資格が転職の際に企業に対してアピールの材料にはならないということです。

異業種に行くには、勉強しなおす、スキルを身につける

自分がどの業界に行きたいのか?

それによって、新たなスキルを身につけたり、勉強しなおすことがまずは、異業種一般企業への転職の第一歩です。

採用する企業からすれば、全く経験がなく、しかもビジネスとは程遠い分野に身を置いていた理学療法士を正社員として受け入れるのは、はっきり言ってギャンブルです。

更に、その分野のスキルもなく、これから勉強して学びたい!などいうものなら、どこも採用してくれないでしょう。

最低限、即戦力でなくとも、その分野の基礎知識は語れるくらいのレベル感は必要です。

では、それだけで異業種一般企業に転職できるかといわれると、不十分です。

全くの異業種にリハ職は転職できる?方法は?

理学療法士が転職して一般企業に就職

ある程度勉強して自分の行きたい業界・業種が固まったとします。

しかし、やみくもに転職活動しても、なかなか採用までに至らないのが現状でしょう。

未経験で、中途採用してもらえる企業規模というのはある程度、限られています。

なので、誰もが知っているような大企業を受けようと転職活動をしたところではっきり言って採用されません。

誰もが知っている、一部上場企業の正社員になるには、大卒でかつ新卒でなければ基本的には採用されません。

良くて、第二新卒まででしょう。

中途採用となると、未経験可の募集はほぼありません。

なので、いくら探しても見当たりません。

また、見当たったとしても書類選考すら通過しません。

リハ職から異業種転職で狙うべき企業

リハビリテーション職から異業種一般企業に転職するには、すでに大企業に成長した企業よりも、今成長途中の企業や、ベンチャー企業であればかなり採用の可能性は高まります。

なぜなら、このような企業は、バリバリの経験者は既に大手企業に行ってしまうということを知っています。

ならば、未経験者もしくは、ほんのちょっと業界のことをかじったことのある程度の人を採用して、企業の成長とともに人材育成しよう、という企業がほとんどです。

熱意があり、あらかじめ業界のことを基本くらいは話せるくらいまで勉強すれば、たとえ未経験でもかなり高い可能性で採用してもらえます。

なので、このような企業に絞って転職活動を行えば、リハビリテーション職から異業種・一般企業にかなり高い可能性で正社員雇用されます。

リハ職の異業種・一般企業の探し方、おすすめの転職サイト

ハローワークはもちろんのこと、転職サイトで“未経験歓迎”の求人に絞ってサポートを受けながら探すのが一番のポイントです。

なので、転職サイトを使った方が、結果的に近道になり得ます。

たとえば、

dodaといった転職サイトであれば、無料でサポートまで受けることができます。

また、“未経験歓迎”で求人を出している企業側も未経験であることを前提に募集を行っているので、面接などで経験の有無など聞かれません。

>>doda公式サイト

そして、ハローワークであれ、転職サイトであれ担当者をうまく活用することです。

  • なぜ転職を考えたのか
  • どんな仕事を行いたいのか

最低限、このくらいはしっかり自分の言葉で伝えて、密にコミュニケーションをとる必要があります。

特に初めての転職であれば、履歴書をはじめ、一般企業のほとんどが職務経歴書が必要なので、書いた経験がなければ尚更、添削が必要でしょう。

無料で活用できるものは、しっかり活用したほうが良いです。

実際に異業種に転職したリハ職の声

一般企業に転職を成功させた理学療法士

私の理学療法士養成校時代の先輩・同級生・後輩で、異業種に身を置く人の声を集めてみました。

偶然にも、私だけでなく周りにもリハビリテーションの世界を飛び出して活躍している人が多く、リアルな声を集めることができました。

ぜひこれから異業種一般企業や、リハの知識・技術を生かした企業に転職を考えている方は参考にしてみてください。

飲食業に転職
飲食業に転職

■なぜ飲食業に?
学生の頃の居酒屋のバイトが楽しく、自分に合っていると感じたから。
病院で働いてみたが、雰囲気的に合わなかった。

■PTとどっちが大変?
PT。飲食業の方が勤務時間も長いが、合わない仕事をする方が大変だった。

■転職に苦労した?
基本的には、飲食業は人で不足なので対して苦労はしなかった。

■今後PTに戻る予定は?
特に考えていない。

生命保険営業職に転職
生命保険営業職に転職

■なぜPTから生命保険営業に?
一番大きな理由は、給料。
特に今の仕事は、インセンティブ(歩合)がつくので、PTより大きく稼ぐことができる。

■どうやって転職した?
転職サイトを利用して、面接を受けた。
今の仕事も、人と話すことが中心なので、PTの時のコミュニケーションスキルをアピールした。

■どちらが大変?
お金の面ではPT。
プレッシャーの面では今の仕事。
成績が悪ければ歩合が減るプレッシャーはPTでは感じることのない感覚。

■今後PTに戻る予定は?
稼げなくなったらすぐに戻る予定(笑)。
家族もいるので!

建設会社事務職に転職
建設会社事務職に転職

■なぜPTをやめた?
専門学校入学の18歳から29歳までリハビリテーションのことしか知らず、もっと世の中広く見なければと思い転職した。

■どうやって異業種転職した?
ハローワークで地道に探して、応募した。

■ほかにも受けた企業は?
確か4社くらい。記憶は不確か。
今の会社ともう1社受かったが、あとは書類選考で落ちた。

■今の仕事をこれからも続けていく?
今のところ、辞める予定もなく、PTに戻る予定もない。

実際に異業種に移ってから大変だった実体験

やはり常に“数字=お金”中心に仕事を進める感覚に慣れるまでが大変でした。

実際にここまで読み進めている理学療法士(または作業療法士、言語聴覚士)の方で、これまでどのくらい“数字=お金”を意識してリハビリテーションに従事してきましたか?

もっと具体的に言えば…

  • あなたはMAXでどのくらい売上を上げられますか?
  • 実際に年間どのくらいの売上を上げていますか?
  • 勤務日平均の売上高は?
  • そのうち利益はどのくらい?

…などなど。

これらをすぐに答えられるでしょうか?

一般企業では常に競争という市場原理が働いている中で勤務することになります。

なので、嫌でもお金(売上、利益など)を考えなければなりませんし、そこを無視してしまうといつか必ず行き詰ります。

「お客様」は大事です。

しかし、利益がなければその「お客様」を大切にすることすらできません。

この感覚を常に意識すること、意識せざる得ないということに抵抗がなければ、ぜひリハビリテーション職からの異業種転職に挑戦してみても良いでしょう。

最後に

リハビリテーション職は、その職を離れたといっても、かつて努力して取得した国家資格はなくなりません。

なので、人生に一度外の世界を見てみるのもいいでしょう。

とはいえ、これまでの話を聞いて、そう簡単にはいかない現実も知ったことでしょう。

もし、今の職場に不満があるのであれば、異業種・一般企業転職もいいですが、リハビリテーション職として違う職場への転職も検討してみてください。
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しかし、リハビリテーション職そのものに何か思うところがあるのであれば、もう業界・業種を変えるしかないでしょう。

確かに容易ではないかもしれませんが、できないことはありません。

実際に、リハビリテーション職以外の道を選んでいる人もいます。

仮に、またリハビリテーション職に戻ろうと思えば、資格はなくならないのでチャンスは十分にあります。

人生は一度きり。

ぜひ、後悔のない選択をしたいものですね。

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