理学療法士はオワコン?!将来性はない?!
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“理学療法士って増えすぎと言われるけどオワコンなの?”
“理学療法士、リハビリテーション職の将来性ってどうなの?”
今までも、これからも言われるであろう【理学療法士は飽和している】ということ。
これを聞くたびに、不安になる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、
「現在、理学療法士として勤務しているけど将来不安。このまま理学療法士を続けていいものなのだろうか?」
という方に向けて、理学療法士はオワコンなのか?理学療法士の現状~未来、そして今後何をすべきなのかということについてデータをもとに解説していきます。
この記事を書いた私は…
愛甲太樹
理学療法士はオワコン?!将来性はない?!
結論から申し上げますと、まだまだ一部の理学療法士は十分将来性はあります。
逆に言えば、あまり将来性のない理学療法士、リハビリテーション職の方も出てきます。
将来性を考える時、多くの方が頭に浮かぶのが【給与】や【年収】または【今後仕事がなくなるのでは?】ということではないでしょうか?
その点でいえば、これから年収の上がる理学療法士の方もいらっしゃいますし、何年たっても変わらない、中には賞与減といった理学療法士が出てくるでしょう。
また、仕事に関しても飽和する分野もあれば、そうでない分野もあります。
では、どういった理学療法士に将来性があり、どういった理学療法士に将来性があまりないのか?
これを知るには、まず理学療法士を取り巻く現状を知ることから始めてみましょう。
仕事がなくなる?!理学療法士の現状
現在「理学療法士は飽和状態」と言われますが、データ上は【需要>供給】となっており実は、まだ理学療法士は飽和状態とまでは至っていません。
その根拠として理学療法士の有効求人倍率をみてみると分かります。
“有効求人倍率=求人数÷求職者”
この式で有効求人倍率が出ますが、この数値が1以上であれば【需要>供給】ということになります。
では、理学療法士の有効求人倍率はと言いますと…
2020年のハローワークのデータによりますと、1.25倍となっています。
ちなみに2020年全業種の有効求人倍率は1.18倍です。
よって、今の時点では職を求めている理学療法士よりも、1.25倍求人数の方が多いということになります。
このことから、現時点では“飽和状態”とまではなっていません。
なぜ飽和状態になるといわれているのか?
今後、需要を供給が大きく上回る予測が出ているからです。
この理学療法士の需給に関しては、平成31年厚生労働省の理学療法士・作業療法士需給分科会で2040年までの予測がなされています。
この分科会での結論といたしましては、2040年時点で供給数が需要の1.5倍になるといわれています。
簡単に言えば、理学療法を求めている人よりも、理学療法を提供する人の方が1.5倍多く、理学療法士があぶれてしまうということです。
また、それ以前から“飽和状態”と言われていたのも、
- 養成校の増加
- 国家試験合格者が年々増加
こうした状況からいずれ飽和状態になることが危惧されて、そういわれていたのではないかと思います。
ではこれから理学療法士の【年収】や【給与】はどうなっていくのでしょうか?
PTの年収は上がっている!けど…
今後、需要より供給が上回る予測が出ていますが、実は直近10年では理学療法士の年収は上がり続けています。
需要と供給の差が縮まっているにもかかわらず、なぜ理学療法士の年収は上がっているのか?
その答えは、現役の理学療法士の平均年齢が上がっているからです。
2010年-2019年 PTの平均年収と平均年齢
以前、【最新版】理学療法士(PT)の現在の年収は?今後どうなる?【UP】でお話しした通り理学療法士の平均年収は上がり続けています。
先ほどもお話ししましたが、なぜ年収が上がっているかといえば、一番大きな要因は平均年齢の上昇です。
基本的に日本は、年齢や勤続年数が上がれば給与や年収はある程度上がります。
なので、ここ10年理学療法士の年収が上がり続けているのは、決して理学療法の需要が大きくなった(=求める人が多くなった)わけではありません。
ということは今後、
- 需要<供給となる
- 平均年齢もいずれ止まる
ことは当然予測できますので、遅からずこの勢いは止まるでしょう。
現に2017年以降は、平均年齢の伸びに比べ平均年収は鈍化していることが見て取れます。
PTの年収はどのくらいで止まる?
結論、2026年に平均年収444万円がピークではないかと考えます。
これを考えるには、平均年齢と昇給金額を見ると分かります。
具体的には…
現在、日本における全産業の正社員の平均年齢は44.15歳
一方、理学療法士の平均年齢は33.3歳
日本全体の平均と比べて約11歳の開きが現時点であります。
また、理学療法士の平均年齢は1.5歳/年で上昇しており、これから約7年で日本全体に追いつく計算になります。
ということは、7年後に理学療法士の平均年収は止まるということになります。
では、7年後の理学療法士の年収はどのくらい上がっているのでしょうか?
理学療法士の昇給スピードは5万円/年
これが7年継続すると35万円になります。
2019年時点の平均年収が409万円ですので、
”7年後(2026年)には平均年齢44歳で409万円+35万円=444万円”
このようになる計算です。
ちなみに日本全体の正社員の平均年齢は44.15歳で、平均年収は503万円です。
これだけ見ると将来性がないように見えるが…
全体の平均を見ると、あまり将来を楽観視できる状況ではありません。
しかし、これらの数値はあくまで全体の平均です。
なので、中には理学療法の業界の中でも将来が明るい分野もあります。
理学療法士の職域を大きく分けると3つあります。
- 医療保険分野
- 介護保険分野
- その他(教育、行政、企業など)
詳細にデータを見ていくと、必ずしも全ての分野において将来性が見込めないわけではなさそうです。
とりわけ伸びている業界が介護分野のリハビリテーションです。
特に2010年以前に理学療法士になられた方は、肌感覚でも「介護分野のリハが増えている」ことは感じているのではないでしょうか?
かなり前(2005年-2010年)の日本理学療法士協会が出したデータですが、分野別の求人数の年次推移をご覧下さい。
分野別求人数の推移
これまでも現在も、理学療法士の多くが医療保険分野で活躍しています。
理学療法士の所属人数を比率にすると…
【医療:介護:その他=7:2:1】
このように言われており、この比率は今も大きく変化していないといわれています。
上記の表を見てもわかる通り、求人(=求められている)のは介護分野ですが、多くの理学療法士が医療保険分野に属しています。
なので、医療保険分野にはすでに多くの理学療法士が供給されています。
一方で、介護保険分野に関しては、求められているが理学療法士の供給が十分ではない状態となっています。
この背景には、これまでは医療保険でカバーしていた患者さんを(外来リハなど)、デイサービス、デイケアで今後はカバーしていこう、という流れが大きいです。
よって国の方針も関わってのことなので、おそらくこの流れは継続するでしょう。
理学療法士の業界の中身を見ていくと、実はこのような構造となっているので決して「すべてのリハビリテーション職に将来性がない!」ということではありません。
むしろ、業界の中でも伸びているところがあるのです。
ただし、多くの理学療法士が“伸びていない”ところに属しているため、
“年収上昇が鈍化している…”
“理学療法士は将来性がない、オワコン…”
と言われているのだと思います。
このまま理学療法士を続けるべき?
このような現状の現実を突きつけられると、
「介護保険分野に行かなければならない?!」
「そもそも本当にこのまま理学療法士を続けていっていいのか?」
このように考える方も少なくないでしょう。
ただ、多くの理学療法士の方は、理学療法士を続けながらどうやって生き延びていくか?を考える方が現実的ではないかと思います。
もちろん、これから伸びる他業界に身を移すということも1つの手ではありますが、全員が決してそうできるわけではありません。
理学療法以外の業界に身を移す(=中途で他業種に転職)となれば、即戦力になるようなスキルが求められます。
そうした異業種転職は、若ければ若いほど有利。
※スキルなしで35歳以上の人が異業種を目指すのはかなり困難と言われています。
そうなると、現実的に理学療法、リハビリテーション職に身を置かざる得ないという方もいらっしゃるでしょう。
また、この理学療法士という仕事が好きでどうにかこの仕事でやっていきたい、というかもいらっしゃるでしょう。
なのでまずは、
“理学療法士を続けるべきか?”
ということを考えるより、
“いかにして理学療法士として生き残っていくべきか?”
ということを念頭において、キャリアアップを考えた方が建設的で現実的でしょう。
ただし、これまでお話ししてきたように、今まで通り理学療法士として働いているとなかなか厳しい現実が待っているかと思います。
ということで、最後に具体的にどうやって今後、理学療法士として生き残っていくか?というアクションプランをご提案していこうと思います。
理学療法士として生き残っていくためには?
今後、理学療法士として生き残るためにとるべきアクションプランは、
- 転職
- 副業
- スキルアップ
この3つが軸になります。
この3つを選択した理由としては、今後理学療法士として生き延びるためには、
- 年収UP
- 職域拡大
- 職場内のポジションの確立
これらが必要になるからです。
もちろん、この3つすべてを実行することは難しいですし、現実的ではないでしょう。
なので、以下を読み進めて実行するものに優先順位をつけてください。
一気に年収を上げるには転職
すぐに年収を上げるには転職が一番早く現実的です。
というのも、今の職場の年収以上のところで、今後も安定して昇給できるところに絞って転職活動を行って転職できれば年収は確実に上がるからです。
これまででお話しした通り、やはり狙いは“介護保険分野”でしょう。
ハローワークやリハビリテーション職に特化した転職サイトを見てみればお分かりの通り、やはり介護保険分野の待遇は、医療保険分野に比べると良い求人が多いです。
中には、リハビリテーション職の介護分野の転職に特化した転職サイトも近年出てきているほど。
参考記事:【機能訓練士の求人多数】ケアキャリの特徴と口コミ・評判【実績は?】
理学療法士の平均的な年収の伸びは5万円/年ほど。
仮に今より年収が30万円以上UPするような転職ができれば、それだけで一気に6年分の昇給をしたのと同じです。
- 転職もいとわない
- 必ずしも今の職場でなくてもよい
このような方はぜひ検討してみるべきでしょう。
▼関連記事▼
【PT監修】理学療法士(PT)転職サイトおすすめ5選【年収UP】
収入を増やしながらスキルを身に付ける副業
理学療法士の副業というのは、実は最近増加しています。
その大きな理由としては、
- 新たなスキルを身につけられる
- 同時に収入にもなる
この2つが主な理由になりますが、それに加え新たなスキルを身につけ収入を得ることで、今後の進路の選択肢も増えることになることも魅力の1つです。
理学療法士の副業には大きく2つがあります。
- 理学療法の知識・技術を生かした副業
→すぐに収入につながる - 全く新たなスキルを身につけて副業
→異業種転職の可能性も
<理学療法士の知識・技術を生かした副業の例>
1.パーソナルトレーナー
2.訪問リハ
これらは、1件あたり・1セッションあたりで報酬を組まれていることが多く、理学療法の知識や技術を生かしつつ副業で行いやすい環境が整っています。
<全く新たなスキルを身につけて副業の例>
1.ブログ、アフィリエイト
2.プログラミング
3.クラウドソーシング
あくまで例ですが、このように理学療法士の知識や技術とは全く別のスキルを身につけるタイプの副業です。
スキルを身につけるまではなかなか成果は出ませんが、一度スキルを身につけると独立や異業種転職の道が大きく開けます。
副業と聞くと、
「何をすればいいの?」
「そもそも理学療法士は副業していいの?」
「職場にバレない?」
など、様々な疑問もある思います。
理学療法士の副業について副業の選び方~手続きまでをまとめて解説している記事もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:すぐにできる理学療法士の副業はこの2つ【副収入を作る】
職場で重要ポジションを築くスキルアップ
現在の職場で活躍して、
「あなたにいてもらわなければ困る!」
と、いった状況を作り出し、役職や昇給を狙う方法です。
理学療法士が行うリハビリテーションの診療報酬は、経験年数・スキルなど関係なく一律です。
しかし、リハビリテーション職の仕事は何も、リハビリテーションの診療だけではありません。
スタッフの教育などの院内向けの仕事も重要になります。
ここで、院内教育を“受講する側”でなく“実施する側”になることで、少なくともそのリハビリテーション室にいてもらわなければ困るポジションが確立できます。
そのためには、自身のスキルアップや知識量は必須です。
その一例が最近リハビリテーション職の間でも話題の“オンラインセミナー”です。
オンラインセミナーの良いところは、
- 交通費がかからない
- 時間に縛られない
- 繰り返し何度でも受講できる
といった、リアルのセミナーとはまた違ったメリットもあります。
このような形で新たな知識をやスキルを身につけ、それを院内に自分が伝達するポジションを築き上げれば、リハビリテーション室の質も上がることでしょうし、あなた自身もいてもらわなければ困る存在になるでしょう。
オンラインセミナーの始め方や、無料セミナーの紹介など下記の記事に記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【PT/OT/ST】無料動画あり!“リハノメ”とは?【口コミ】
関連記事:【呼吸療法認定士】合格率91.8%アステッキのe-ラーニングとは?【口コミ】
まとめ
理学療法士の全体的な先行きは、あまり明るい見通しがなく“理学療法士はオワコン”と言われるのも無理はない状況です。
しかし、その状況を見過ごして何もしないでいると本当に“オワコン”になってしまいます。
何もしないということは、業界の流れに身を任せることと同じです。
また、全体的に明るい見通しがないだけで、部分的には実はもっとこれから伸びる理学療法の分野もあることが分かったと思います。
その一例が介護保険分野です。
とは言え、今の時点で医療保険分野にいる人の全員が介護保険分野に行けるわけでもなく、また「いくら伸びしろがあるとはいえ気が進まない…」という方もいらっしゃるでしょう。
そのために、
- 今より給与の高いところに転職
- 副業
- スキルUPで昇給・昇進を狙う
など、アクションプランは残されています。
なのでぜひ
“理学療法士は将来性がないオワコン…”
と嘆く前に、1つでもいいので今ご自身でできることを実行してみてください。
こうして、現状を知り、行動に移す理学療法士にこそまだまだ将来性は残されており、むしろ明るいのではないかと思います。