「理学療法士はやめとけ」となぜ言われるようになったのか?
“理学療法士をこのまま続けていくのに疑問を感じる…”
“理学療法士の将来性の話であまり明るい話を聞かないけど大丈夫かな?”
理学療法士の将来に対してあまり明るい話を聞かないのは皆さん同じではないでしょうか?
「PTは飽和状態」
という意見や、
「給料も上がらないしPTはやめておいた方がいい」など…
このような声を聞いて不安にならない人はいないでしょう。
そこで今回は、
「“理学療法士はやめとけ”というのを聞いて、自分と同じように理学療法士を続けることに対して不安を感じている人はいるのかな?そして今後どうすればいいのだろうか?」
というPTの方々に“理学療法士はやめておけ”と言われる理由や今後についてお話ししていければと思います。
この記事を書いた私は…
愛甲太樹
「理学療法士はやめとけ」と言われる理由とは?
「理学療法士はやめとけ」と言われる理由は大きく3つあります。
- 給与や待遇が低い、伸びにくい
- 人間関係で悩むPTが多い
- リハビリテーション職の将来性を案じて
大きくこのような理由からこのように言われていることが多いです。
なぜこの3つの要因なのか?
退職・転職の原因になった悩みをひも解くと見えてきます。
退職・転職の原因になった悩み一覧
《理学療法士の転退職の原因になった悩み》
退職、転職した理学療法士の調査結果です。(異業種転職を含む)
もちろん、退職・転職の理由にはポジティブな理由もあります。
しかし今回は「何か悩みがあって退職・転職した」PTの要因・理由の一覧です。
これを見ることによって、理学療法士が普段、理学療法、リハビリテーション職にどのような不満を持っているのか推測できます。
もちろん、上記の表は退職・転職をした理学療法士のみの意見です。
しかし、退職・転職はしないまでも少なからず、このような悩みや問題を感じている理学療法士もいらっしゃるでしょう。
よって、このような理学療法士やリハビリテーション職のネガティブな意見が「理学療法士はやめとけ」と言われる原因となっていると考えます。
ただし注意点も!
これまでの情報だけで「やっぱり理学療法士という職業はあまり将来性がないのかな…」と判断するには注意が必要です。
というのも、職場によって給与や人間関係は変わります。
将来性に関しても理学療法士やリハビリテーション職のどの部分を見るかによって大きく変わってきます。
例えば、理学療法士の給与も整形外科の病院であれば比較的低い傾向はありますが、地方の老健であれば高くなります。
また、人間関係も職場によって大きく異なります。
なので、このデータは必ずしも“理学療法士”という職業全体がイヤになったのではなく、不幸にして職場が適さなかった人も多いのではないかと思います。
とはいえ、世の中の他の職業と比較すると理学療法士の平均年収は低くなっていますし、今後もその差は広がるとみられています。
参考記事:【最新版】理学療法士(PT)の現在の年収は?今後どうなる?【UP】
また、医療・介護職は様々な資格を持った職種が同じ職場で勤務します。
その中には職種間でのヒエラルキーが少なからず存在することを感じているPTの方も多いのではないでしょうか?
このように、職種間ヒエラルキーが少なからず存在することは事実であり、そのことによって医療・介護職は人間関係に摩擦が起きやすいというのも事実ではあります。
以上のことを踏まえ「理学療法士はやめとけ」という言葉の真意には、必ずしも理学療法士全体を危惧するわけではなく、個別の職場への不満なども含まれる場合があります。
しかし、このような言葉が聞かれる職種というのは決して多くありません。
なので、業界全体に問題がない!というわけではなさそうです。
自分だけじゃない?!PTの不安・不満の声
現役の理学療法士、過去に理学療法士をしていて異業種に転職した方、実際に転退職した理学療法士の、“理学療法士の不満・不安”の声を集めてみましたので紹介していきます。
ここからわかることは、決してあなただけが理学療法士という職に対して“不安・不満”を抱いているわけではないということもわかると思います。
一言でいうと変わった上司が多かった。
看護助手へのマウントや、実習生への半ばいじめのような指導…いつか自分もこうなるのではないかと思い3年目で転職。
「まさか次もこんな上司ばっかりだったら…」という一抹の不安を抱えつつも転職しましたが、幸い今の職場はいい意味でみんなドライなので何とかやって行けそうです。
休みの日でも、院内勉強会がある日は夕方から参加しないといけなくて、休みが休みじゃない。
一応、自由参加とはなっているけど、ほぼ全員参加なので実質強制。
そのための資料作成も自宅でしないといけなくて…もちろん無給です。
時給計算するとなんだか悲しくなります。
昇給が基本給に+500円で、年収にして毎年1万円未満…。
これが5年続いたのでようやく「この業界にいてはいけない!」と思い異業種に転職。
理学療法士時代は、安定していたし、残業もなくある意味ラクだったけど年取った時に自分が苦労することが目に見えていた。
協会に強制加入(会費の約2万円は自己負担)に突発的に始まる業務後の伝達講習…。
「帰ります」と言えればいいけど、なかなかそんな雰囲気ではなく。
(残業代はありません。あくまで自己研鑽という名目なので。)
もしかしてPTって共働きの世帯の母親には向かない仕事なのかな?!
PT同士の「先生」という呼び方に「先生ごっこ」しているみたいで何となく馴染めない。
何となくだけど無駄にプライド高い人が多い気がする。
このように周りの理学療法士の声を集めただけでも、リアルな悩みが見えてきました。
もちろん、このような悩みや不満が我慢できる範囲、PTなら仕方ない!と思えるのであればそのままでいいのかもしれないです。
そのあたりは人それぞれの価値観によるものだと思います。
しかし「今の状況を変えたい!」と思うのであれば何かしらの行動は必要になってきます。
今後どうするべき?!
まず、自分が今「何に対して不満・不安なのか」を明確にすることです。
これを知ることで、
- 理学療法士を辞めれば解決できる
- 職場を変えれば解決できる
このうち、どちらなのかを決めることができます。
例えば、
- 理学療法士同士の雰囲気に馴染めない
- 年収の上限が見えている
- 業界に将来性を感じない
このように感じているのであれば、正直PTとして職場を変えてもまた同じことで悩んだり、不満を感じるでしょう。
以前、理学療法士はオワコン?!将来性はない?!でお話しした通り、上記のように考える方がいらっしゃるのも当然かと思います。
一方で、
- 今より年収を少しでも上げたい
- 多職種との人間関係に悩んでいる
- サービス残業、休日サービス業務が多い
このような方は、PTを辞めることでも解決しますが、まずは職場を変えることから検討したほうが良いでしょう。
※ちなみに職場を変える転職よりも、異業種転職の方が難易度は高くなります。
いずれにせよ、このような悩みを持っている方に共通して言えることがあります。
それは…
環境を変えるより自分の居場所を変えた方が早い
間違っても周囲の人の考え方や行動、環境を変えようとしないことです。
たとえ周囲の環境や人が明らかに原因であっても。
もちろん、
「周囲の人や環境を変えることはことは無理!できない!」
と、いうつもりはありません。
しかし、自分を変えるより周囲の人や環境を変える方が何倍も時間や労力がかかります。
また、うまくいくことの方が少ない、むしろかえって人間関係などを複雑にし悪化することも懸念事項です。
なので、まずは
「自分にとって最適な居場所」
これを探すことを優先することをおすすめします。
このこともあって、受け入れることのできない不満、不安があれば周囲を変える努力より先に
- 理学療法士という職から身を引く
- 今の職から身を引く
という選択肢を優先することをおすすめします。
とはいえ新たな居場所を探すのも難しい?!
“新たな居場所を探す≒転職”ということですが、もちろん簡単に決断できるものではないことは誰しも感じていることでしょう。
特に異業種転職。
理学療法士以外の職歴はなく、かつ35歳以上だとさらに難しくなります。
また、理学療法士として他の職場に転職するにも
「また同じことに悩むのでは?」
「ほかの新たな問題に直面するのでは?」
「今より悪い職場だったらどうしよう…」
といった不安から、なかなか転職に踏み切れない方もいらっしゃるでしょう。
ですが、自分で動き出さなければ何も変わりません。
理学療法士として上記のような不安を払拭しながら転職するのは、実は難しいことではありません。
身近なところで行くとハローワークです。
ここに相談に行くとある程度、求人募集先の現状や評判、離職率など教えてもらえます。
また、リハビリテーション職を対象にした転職サイトも近年様々出てきています。
各サイトサポート地域など差がありますが、ハローワークのような相談もできかつ、過去の面接内容や待遇交渉まで行ってもらえます。
もちろん、ハローワークも転職サイトも無料で利用することも可能です。
ぜひ、PT/OT/STの転職サイト評判・口コミ一覧【転職サイト7選】なども参考に検討してみてください。
異業種転職に関しては、少し辛口気味ではありますが【実体験】理学療法士から一般企業に転職はできる?を参考にしてみてください。
ここに書いてる通り、リハビリテーション業界から身を移すことは容易ではありません。
しかし、方法はあります。
例えば、副業で別のスキルを身につけてアピール材料にするなど。
また、副業にはスキルを得る以外の利点もあります。
スキルを得ながら同時に収入を得ることができます。
なので、異業種転職を狙っている理学療法士だけでなく今後の収入に不安を抱えている理学療法士にもおすすめです。
理学療法士の副業に関しては、すぐにできる理学療法士の副業はこの2つ【副収入を作る】をぜひ参考にしてみてください。
最後に!
「理学療法士はやめとけ…」というような言葉で危機感を覚えたり、問題意識を持つこと自体は何ら問題はありません。
しかし、過度に不安がったり、問題を感じても放っておくことはあまり建設的ではないと思います。
もちろん、理学療法士全員が“新たな居場所”を探すべき!とは思いません。
しかし、選択肢として持っておくことも必要ではないでしょうか?
そしていざ動き出すとき、困らないように情報収集は今後も続けていくことをおすすめします。